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【お知らせ】扇椰子のなびく病院(カンボジア王国)でボランティア(後編)[高知]
2020.04.10
平成27年度1次隊/カンボジア王国/看護師 看護管理
下司 政代(高知)
【カンボジアでの縁】
プノンペンへのバス移動は道路状況にもよりますが、大体6時間から7時間位かかりました。そのためこのバス移動では、トイレ休憩と食事休憩がありました。私は先輩隊員から、この移動時にお腹の調子が悪いと地獄だから気をつけてと教えられていたため、食事休憩は食堂で食べず、持参したクッキーと持参したコーヒで簡単にすませていました。
ある日同じバスに乗り合わせた女性が、「シスター、どこから来たの、何しているの」と興味津々で簡単な英語とクメール語で話しかけてきました。私もいつも持参していたクメール語会話の本で、言葉を指しながら話しました。そして食事休憩の時間が来ました。私はいつものように食事を済ませ本を読んで待っていると、その女性が「どうして食べないの、お金が無いならあるから食べなさい」とこの日、出会ったばかりの私に言ってくれました。
この女性は実家がバッタンバンだという事で、その後も時々バスで会いました。「シスター、ソクサバイテ(元気)」と声を掛ける友達になりました。帰国する少し前にも会って「もうすぐ日本に帰るよ」と伝えると、ハグして「また必ずおいでね」。と言ってくれました。プノンペンからバッタンバンに戻るバスを待っている間も、トゥクトゥクのおじさん達が「俺のに、乗って行け」と言うかと思うと「どこの国だ、何してる、どこへ行く」と質問攻め。「JICAのボランティアか、JICAはカンボジアで色々やってくれているよ。バスが来なかったら、俺が停車場へ乗せて行ってやるよ」と言ってくれるおじさんもいました。
優しく、開けっ広げで、明るいカンボジアの人達は、言葉もできない外国人にたいして心配して声を掛けてくれる。日本でこの逆の立場だったらどうだろうかと思わされました。アパートの気さくなオーナ夫妻とそのスタッフ、毎日病院へ送迎してくれた穏やかなトゥクトゥクのドライバーさん、近所のカフェのオーナの姉妹など、カンボジアの人だけでなく、日本にいては決して知り合うことが無かったたくさんの国々の人達とのつながりができました。
さらに任地では、青年海外協力隊員達が始めた「バッタンバン女子会」の若い人達と知り合いになりました。女子会のメンバーの教員は、JICAのプログラムで広島大学大学院へ留学。現在は修了し帰国していますが、新しい教育制度に変わったカンボジアのリーダになっていく人だと思います。他にも看護学生だったメンバーで、日本に憧れていた子が技能研修生で広島の介護施設で働いています。優秀なので留学して勉強してもらいたいと思っていたのですが、驚く速さで日本語検定も受かり、私が留学方法を考えている間に日本に来てしまいました。「バッタンバン女子会」への参加が彼女の刺激になったと思うと、嬉しさと同時に責任を感じるところです。彼らが憧れた日本での生活が安全で健康に、そして何より嫌な思いをせずに過ごせるように願っています。今度は、私がカンボジアで暖かく受け入れてもらった恩をお返しする番です。
【帰国後の生活】
ふり返ってみると、任地の人々に受け入れられ、人と人とのつながりに助けてもらいながら、活動と生活をしてきたことを強く感じます。二年間のボランティア活動は、なにか大きな事を成し遂げたのでなく、そこの人々と共に暮らし、人とつながる事ができたのが、一番の大きな活動成果なのだろうと思っています。そのようなことを思いながら、日本に来ているカンボジアの娘たちといえる「バッタンバン女子会」メンバーの母親気分でつながっています。
また「育てる会」の役員や、「青年海外協力隊OB・OG会」の賛助会員という事で参加しております。自分のできることでしたら、学校の出前講座や、県・市民の文化教室での講演、看護学校の授業など、声を掛けられたら積極的にやらせてもらっています。この3月には、国際看護という事で卒業講演の依頼も受けています。海外でボランティアをやるという「50年前の宿題」は、終わったのではなく始まったばかりと言えます。
【これからJICA海外協力隊を目指す皆さんへ】
人は晩年、したことを後悔するより、しなかったことを後悔するそうです。私も、応募年齢ギリギリで、忘れていた夢に挑戦することができました。時間はかかりましたが、自分を取り巻く条件と、機会が上手くマッチし、チャンスをつかむことができました。
思いがあれば、通じます。そしてその思いに達するには何がいるのか、語学力、その他の資格取得など必要なことをコツコツと始めて下さい。そして思い切って挑戦しましょう、新しい自分に出会えるでしょう。点と線の旅行とは違って、2年間の任地での活動と生活の実体験を通して成長し、あなたの人生をより豊かにしてくれると思います。シニアの私でも2年間の隊員生活は、私の世界を大きく広げてくれました。多くの人たちに参加して経験してもらいたいと思います。
【第二の故郷カンボジアへ里帰り】
2019年12月、「JICA支援の新病棟が完成する頃には、見に来るよ」と約束した派遣国カンボジアに行ってきました。首都は激変していると聞いてはいても、驚くほどの変貌ぶり。それに比べると少しスピードは遅いけれど確実に変化している任地バッタンバン。工期が遅れ新病棟はまだ完成していませんでしたが、変わらぬパワフルなスタッフ達に会えました。
【詳細】
JICAホームページ>JICA四国>「人」明日へのストーリー>扇椰子のなびく病院でボランティア(後編)
https://www.jica.go.jp/shikoku/story/0126_3.html
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えひめグローバルネットワークは、令和元年度外務省NGO相談員事業を受託しています。
http://www.egn.or.jp/ngo/ngo.html
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